金融庁が発表した2,000万円問題の影響もあり、老後資金の確保ための資産運用が日本でも注目されるようになってきました。

お金に関するアドバイザーというとFP(ファイナンシャルプランナー)という認識も広がってきましたが、近年ではIFAにも注目が集まっています。

今回は、IFAとはどんなアドバイザーなのか、FPとの違いやアメリカと比べてどうなのかという点について解説いたします。

IFAとは?

IFAとはIndependent Finacial Advisorno略で、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」ともいわれています。

保険会社や証券会社、銀行などの特定の金融機関に属さず、顧客の視点に立って中立的に資産運用のアドバイスを行う専門家です。FPと違い、資格などの認定は存在しません。

また、IFAはアドバイス業務だけではなく、顧客に代わって投資商品などを売買し、資産運用を行うことを生業としています。日本では2004年に金融商品仲介業の制度が導入され、IFAという考え方が広まり、顧客の立場に立った提案が可能になりました。

アメリカでは30年以上前から普及していて、IFAといわれるアドバイザーは約30万人いるといわれていますが、日本ではまだ4,000人程度しかいません。

FP(ファイナンシャルプランナー)とは?

お金のアドバイザーというと、日本ではFPというのが浸透してきました。
日本FP協会によるとFPとは下記のように定義されています。

人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です。

日本FP協会|ファイナンシャル・プランナー(FP)とは

FPは以下の6科目を勉強して資格を取得します。

  • ライフプランニングと資金計画
  • リスク管理
  • 金融資産運用
  • タックスプランニング
  • 不動産
  • 相続・事業承継

お金の専門家であって、アドバイス業を生業としていることは同じですが、IFAと違い、金融商品仲介業者や投資助言業者でない限り、具体的な投資商品の選定や顧客に代わって売買を行うことは禁止されています。

アメリカと日本のFPの違い

日本においてもお金に関する事はFPに相談するという認識が徐々に広まっていると感じます。ただ、日本とアメリカではアドバイザーの認識が大きく違っていて、特に報酬体系が要因となっています。

アメリカの報酬体系はフィーベース型といわれ、日本はコミッション型といわれています。

フィーベース型は、顧客から直接報酬を受け取ることです。
例えば、アメリカのFPやIFAといわれる立場のアドバイザーは、顧客の預かり資産の数%など、直接顧客からフィーを受け取る報酬体系になっています。

顧客からフィーを直接得るので、投資に失敗するわけにはいきません。顧客の資産が増えないと、自分たちの報酬がいただけないからです。そのため、より顧客の立場に立ったアドバイスが重要になります。

一方で日本のFPの報酬はコミッション型が多くなっています。
コミッション型とは、販売した投資商品や保険商品などから手数料を受け取ることです。

この報酬体系の問題点は、手数料の高い商品だけを販売することや、証券会社等では手数料獲得のために不必要な売買を繰り返されることにあります。

日本では独立系のFPはまだまだ少なく、ほとんどのFPがどこかの会社に所属をしていたり、独立していても報酬のほとんどが保険商品の販売手数料だったりします。顧客の立場に立ったアドバイスができているとは思えない状況です。

なぜIFAが注目されているのか?IFAに期待されることは?

金融庁が発表した老後2,000万円問題もあり、日本人の資産運用意識も徐々に高まっています。日本銀行が発表している日米欧の資産構成状況の比較をみると、日本は現金・預金が資産の半分以上を占めています。

対して、アメリカは12.9%、ヨーロッパは34%です。
日本の投資意識の低さが伺えます。

もはや、銀行の金利で資産が増えないことはわかりきっている事実です。
資産運用の必要性が高まっている今、顧客の目線でアドバイスや運用を行うIFAの存在価値も上昇し、投資のハードルが下がることが期待されます。

参考:日本銀行|資金循環の日米欧比較