日本の年金制度は複雑で非常に分かりづらいものとなっています。
昨年は金融庁が発表した老後2,000万円問題が話題になりましたが、いったい年金はいくらもらえるのでしょうか?

今回は、基本的な年金の国民年金と厚生年金について、受給要件や目安となる受給額を説明し、さらに老後の生活費についても解説します。

会社員と自営業者ではもらえる年金が違う

会社員と自営業者ではもらえる年金が異なります。

はじめに年金の種類を簡単に整理します。
もっとも基本的な年金は以下の2種類です。

  • 国民年金(基礎年金)
  • 厚生年金

それぞれについて解説します。

国民年金(基礎年金)

国民年金とは、基礎年金ともいわれ、日本に住んでいる20~60歳未満のすべての人に加入する義務があります。

20歳になると日本年金機構から加入に必要な書類が送られてくるので、市町村役場に提出して手続きを行います。
また、会社員で厚生年金に加入していた人が、退職して自営業者となる場合も同様に市町村役場で手続きを行います。

2020年現在の保険料は、1ヶ月あたり16,540円です。
国民年金を受給するには、10年以上の保険料納付が必要です。

厚生年金

厚生年金とは、国民年金に上乗せされて給付される年金のことで、主に会社員の方が加入します。
(※公務員は共済年金というのもに加入していましたが、2015年10月に厚生年金に統合されました)

会社員や公務員は強制加入になり、保険料は自身の報酬に応じて決定し、事業主と折半して支払います。
報酬が高い人は最大で月額56,730円を収めることになります。

厚生年金を受給するには、被保険者期間が1ヶ月以上あることと、国民年金の受給要件である国民年金保険料の納付期間が10年以上あることが必要です。

年金はいつからもらえるの?

受給要件を満たしていれば、多くの方が65歳から年金を受け取ることが可能です。
※生年月日と性別によって、65歳前に厚生年金を受け取れるケースがあります

参考:公益財団法人生命保険文化センター|厚生年金は何歳から受け取れる?

平均受給額は?

年金の平均受給額は、厚生労働省の「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概要」によると、国民年金で月額約5万円、厚生年金で月額約14万円となっています。

平均受給額は男女で差があり、女性は結婚や子育てなどで一時的に加入しない期間などがあるため男性の方が平均受給額が高くなっています。
パターン別におおよその年金受給額を試算すると下表のようになります。

年金資産早見表

パターン 国民年金 厚生年金 合計
会社員×専業主婦 12.8万円 9.5万円 22.3万円
会社員×会社員 12.8万円 17.5万円 30.3万円
自営業×会社員 12.8万円 8.2万円 21.0万円
自営業×自営業 12.8万円 0万円 12.8万円
会社員(独身) 6.4万円 9.3万円 15.7万円

※1会社員は23歳〜60歳 年収400万円とする
※2専業主婦は30歳からとし、23歳から会社員とする

夫婦で会社員だった場合と、夫婦で自営業だった場合では2倍以上の差がでることになります。

老後の最低生活費とゆとりある老後の生活費

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、老後の最低生活費は約22万円、ゆとりある老後の生活費は34.9万円となっています。

老後の最低生活費

15万円未満 5.9%
15〜20万円未満 13.1%
20〜25万円未満 31.5%
25〜30万円未満 13.6%
30〜40万円未満 15.0%
40万円以上 2.4%
わからない 18.6%

ゆとりある老後の生活費

20万円未満 3.3%
20〜25万円未満 7.5%
25〜30万円未満 12.3%
30〜35万円未満 21.8%
35〜40万円未満 9.0%
40〜45万円未満 11.0%
45〜50万円未満 3.1%
50万円以上 13.5%
わからない 18.6%

参考:公益財団法人生命保険文化センター|「生活保障に関する調査」

会社員で専業主婦の組み合わせで、なんとか老後の最低生活費の約22万円に到達できますが、ゆとりある老後の生活費には夫婦ともに会社員の場合でも不足することになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、老後の年金について、基本的な事柄を中心に解説しました。
昨年、金融庁が発表した老後2,000万円不足問題も現実味があるのではないでしょうか?

資産運用をはじめ、独自で老後資金を補う工夫が求められます。