2020年の世界幸福度ランキングが発表され、3年連続でフィンランドが第1位となりました。トップ10の半数は北欧諸国が占めています。
北欧とイメージすると、働く時間が短いのに所得水準が高く、1人あたりGDPも高い、休暇が長いなどのイメージを思い浮かべる人も多いかもしれません。
今回は、幸福度ランキング1位のフィンランド、なぜ北欧諸国の幸福度が高いのかについて考えてみました。
参考:World Happiness Report 2020
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フィンランドはどんな国?
フィンランドは、ヨーロッパ北部のスカンディナビア半島、スウェーデンとロシアの間に位置する国です。
人口は約550万人、国土は日本よりやや小さい33.8万㎡で、約70%が森林、10%が水域で、森と湖の国ともいわれています。
首都はヘルシンキです。今年は国だけでなく、都市の幸福度ランキングも発表され、300都市の中からヘルシンキがトップとなり、都市としても世界1位となりました。
参考:外務省|フィンランド共和国(Republic of Finlan
フィンランドの1人あたりGDPと中心産業
フィンランドの1人あたりGDPは約5万ドルで世界15位、日本の1.25倍です。石油やガスなどの天然資源はありません。
寒暖差が80度以上になるなど、気候的条件も厳しいですが、森林と水が豊富なので、製紙・パルプ・木材といった森林資源を生かした産業が中心です。
他に、金属、機械産業、電気・電子機器、情報通信なども強く、かつて携帯電話で有名になったノキアもフィンランドを代表する企業です。
ここ数年では、ヨーロッパのシリコンバレーといわれるほど、様々なスタートアップ企業が誕生し、環境、医療、教育分野での成長が目覚ましくなっています。
世界幸福度ランキングとは?
世界幸福度ランキングは、以下の要素をもとに決定されます。
- 人口あたりのGDP
- 社会的支援の充実度
- 健康寿命
- 人生における選択の自由度
- 社会における寛容さ
- 社会の腐敗度
上記、6つの要素をもとに、総合的に判断されます。
ランキングにおいて特に差が出るのは、「人生における選択の自由度」と「社会的寛容さ」のようです。
フィンランドの人生における選択の自由度
人生における選択の自由度に直結する部分としては、学歴や就職ということが考えられます。
フィンランドは、学歴における差がないといわれ、本人が持っている専門分野で評価されます。また、国からの補助があり、学費はすべて無料です。
就職についても、日本のように新卒一括採用などはありません。
そもそもフィンランドの大学には卒業時期というものがなく、卒論などをクリアすれば、いつでも卒業できます。
もちろん、終身雇用制度や年功序列もなく、起業についても補助金なども存在しています。
フィンランドの社会的寛容さ
フィンランドの社会的寛容さについては、選択の自由度にも関連しますが、基本的にはなんでもありの国です。
例えば、就職後に仕事を辞めて学校に入りなおす人がいます。大学の学費が無料なので、そのような選択肢をとることが可能です。
同様に就職についても、何回転職をしてもキャリアに影響はありません。
過去の経歴の問題点は重要ではなく、その人自身がどのように会社に貢献できるかで評価されます。
当然、学歴も関係ありません。そういった意味では、人生のやり直しがしやすいといえます。
なぜ北欧諸国の幸福度は高いのか?
北欧諸国の幸福度の高さは、やはり「人生の選択の自由度」と「社会的寛容さ」がポイントだと考えます。
2020年ランキングでも、2位以下はデンマーク、スイス、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、ルクセンブルクなど北欧が上位を独占しています。
この中で、10位のルクセンブルクは1人あたりGDPが世界1位です。
北欧は1人あたりGDPが高い国が多いですが、高い=幸福ではないのは確かです。それどころか、ノルエェーやスウェーデンは税金が高いことでも有名です。
ただ、共通しているのは、医療費や教育費などの社会的支援が無料なことです。それと合わせて、前述のとおり「人生の選択の自由度」や「社会的寛容度」の高い国民性が影響を与えていると思います。
日本の幸福度が低い理由
日本の順位は以下のように推移しています。
- 2017年 51位
- 2018年 54位
- 2019年 58位
- 2020年 62位
4年間でどんどん順位を落としています。
それなりの所得水準で、なんでも手に入り、治安のいい安全な国である日本の幸福度はなぜ低いでのでしょうか?
これも選択の自由度や社会的寛容さに関係があると考えます。
例えば、学歴でいえば、やり直しをすることは容易ではありません。仕事でいえば起業はしづらく、失敗した場合に這い上がることが難しいです。
こんなことを書くと一部のスタートアップで成功した起業家から、そんなことはないと批判がありそうですが、あくまでも北欧諸国と比べた場合の話です。
また、あまり知られてませんが、日本は欧米に比べて休日が多い国です。
ところが日本人は幸せとは感じていません。
北欧は休日こそ少ないものの、無駄な残業はなく、3〜4週間の休暇をとることが一般的です。
日本の連休はGWと年末年始ということになりますが、ほとんどの人が一律で休むことになり、どこも混雑しています。そして有給は取りづらい環境です。
このことからも、人は自分自身で生活や人生を選択できる度合いが高いほど、幸福と感じるのかもしれません。
日本の制度の文句をいっても仕方がありません。
幸福を掴むためには、自身でコントロールができるよう、起業も含めて、背極的にチャレンジするのが、なんだかんだいって近道なのかもしれません。